『バーチャルCEO』 レビュー 評判 クリス・ダッカー

『バーチャルCEO』

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『バーチャルCEO』 レビュー

『バーチャルCEO』イメージPhoto: Victor1558

The Story

西暦2084年——

街は2つの地区に分かれていた。壁を隔てた地区には、とうに職を失って久しい人々が、かろうじて生きている、ようだ。壁の外の彼らを、この目で見たことはない。

先日、ニュースで、D56エリアの壁の外で暴動が起こったと告げていた。深夜、暴徒に囲まれた食料配給車が2台、炎上した。ニュース映像に映し出された、闇夜の暴徒のシルエットは、不気味な印象として残っている。

「俺は、まだ恵まれているのかもしれないな」

灰色の壁に沿ったフリーウェイでそう呟き、ドーム型のホバークラフトのスピードを少しだけ上げた。
 

広大なオフィスのゲートを歩いて通過すると、センサーが反応する。

定刻通りの出社だ。

「さあ、今日のタスクを確認しておこう」

彼のデスクは、複数のディスプレイに取り囲まれている。彼は、この会社の主力商品、マルチ翻訳プログラム「バベル」の開発部の主任を務めている。このプログラムは、今やほとんどのデジタル端末にバンドルされ、この会社の資産価値を劇的に高めた。

さらに最近では、今までにない画期的な情報提供サービスのリリースも決まった。彼は多忙を極めていた。このところ気持ちが沈みがちなのもそのためかもしれない。右端のモニタを確認すると、一番上のタスクが点滅している。

「そうか、今日は、全社員へ向けての戦略共有会だ」

周りを見ると、すでに社員は大ホールへ移動を始めている。彼もその列に加わった。
 

「しかしよぉ、俺はまだ慣れねえな」

同期のサムだ。2人とも地面を滑るオートウォークに乗り、大ホールへ向かっている。

「シッ、聞かれるぞ」

「大丈夫さ。この廊下は監視されちゃいない」

サムはセキュリティ管理部に配属されている。

「いくら、AIが発達したからってよぉ……」
 

大ホールに入ると、社員は全員一方を向き、直立している。サムと2人、皆にならって立った。

「そろそろ、お出ましだな」

サムがそっと呟いた。全社員は、前面の巨大ディスプレイを、じっと見つめている。

お決まりのサウンドとともに、画面中央でアニメーションを始めた会社のロゴの動きが止まる。次の瞬間、暗転した画面に、緑色に発光するホログラムの人物が現れた。

「オハヨウ、諸君」
 

西暦2084年——

わが社のCEOはAIとなった。バーチャルCEOだ。
 

*    *    *

 

本書のタイトルを見ると、こんなSF小説を思い浮かべるかもしれない。もちろん、『バーチャルCEO』は、ハヤカワ文庫ではなく、ダイレクト出版の本だ。トム・クルーズ主演で映画化もされない。
 
この本の内容をわかりやすく伝えるなら、こうだろう。

「バーチャルCEO」の本というより、「バーチャル・アシスタント」の本。

この本は、バーチャル・アシスタント(VA)を雇う方法が書かれている。本のタイトルについては、バーチャル・アシスタントを活用する経営者が「バーチャルCEO」というわけだ。

バーチャルアシ・スタントとは、簡単に言えば、デジタルを介して業務のアウトソーシングすることだ。こんなことをイメージすればいい。

  • スカイプ(テレビ電話アプリ)で打ち合わせ
  • メールでのやり取り
  • クラウド上でのファイル共有

バーチャル・アシスタントは、どんな仕事をしてくれるのだろう?

<VAの7つの職種>
  • ジェネラル・バーチャル・アシスタント(SNS・ブログの更新、リサーチ、書類作成など様々なサポート業務)
  • ウェブ開発者
  • グラッフィックデザイナー
  • SEOアドバイザー、ウェブマーケティングアドバイザー
  • コンテンツライター
  • 音声・動画編集者
  • モバイルアプリ開発者

「あ、それ、やってほしい」というものばかりではないだろうか。

この本には、求人、契約、報酬などの採用の仕方から、継続的な関係づくりまで具体的な方法が載っている。こんな項目も参考になる。

  • 「シュミレーション:VAを6ヵ月間雇用する」
  • 「アウトソーシング10の失敗」

海外の人をバーチャル・アシスタントとする話も出てくる。これも、なかなか興味深い。

VAを雇うのに、これ1冊あれば、なんとかなりそうだ。

でも、どうしてバーチャル・アシスタントが必要なのか?

それには、このストーリーが教訓になるかもしれない。
 

*    *    *

 

The Beginning Story

彼は多忙だった。

会社のトップとして働く彼はあらゆる業務に口を出した。その指示のどれもが的を得たものであり、彼の言った通りにすればすぐに成果となって現れた。

「開発を急がなければならない」

彼がそう焦っていたのは、「大帝国」と呼ばれる巨大企業ゴーグルから、企業買収の打診があったためだ。
 

人々の目はすでに奪われている。最近、ゴーグルは、顔の前面をすっぽり覆うような極薄の強化ガラス製フェイスマスクを、全世界の希望者に無償提供し始めた。アレルギーを誘発する化学物質や花粉などの防塵機能にも優れ、また見た目にも装着しているのがわからないため、女性にも人気となっている。

近年、ゴーグルが提供する動画サービスCubeの月間視聴回数はすでに頭打ちとなっていた。人口減少による影響もある。しかしこのところ、総再生数を再び伸ばし始めた。このフェイスマスクでは、時間と場所を問わずCubeが見られる。いや、人々は起きている間中——あるいは寝ている間も——Cubeを視聴し続けているのだ。

「目は取られたが、口は渡さない」

彼には夢がある。「世界中の壁を壊す」というものだ。職のある者、ない者。金のある者、ない者。その間に立ちはだかる壁を打ち壊したい。そう心から願っている。これこそが彼のすべてであり、彼の魂そのものなのだ。「そのためなら、何だってやる」。不遇な少年時代に、彼はそびえ立つ灰色の壁を見上げて固く誓っていた。
 

「言葉の壁」だ。その着想を得たのは、「大帝国」ゴーグルに立ちはだかる壁を打ち壊そうと、数日間にわたりブレインストーミングを続けていた時だった。検索サービスを提供するゴーグルは、世界中の「知識」を自社のサーバーへ格納した。その膨大な情報は、主に文書、テキストによるものだ。

しかし、テキスト化されたデータには弱みがある。重要性や優位性、信憑性や欺瞞性なども考え合わせれば、実はその情報は確かなものではない。しかも、ゴーグルはその判断を今だにユーザーに委ねている。

こんな言葉がある。

宗教的、政治的方法での偉大な歴史的雪崩を起こした力は、永遠の昔から語られる言葉の魔力だけだった*

「語られる言葉」。そう、口で話される言葉こそが、偉大なのだ。人間の英知なのだ。キリストもブッダも、偉大な真理はすべて、その口で語っただけだった。
 

そして「同時通訳プログラム」の開発を始める。その昔、ソーシャル・ネットワーク・サービスなるものがあったという。人々のコミュニケーションの媒体となるものだ。

この開発中のプログラムが実用化されれば、全世界の人々の口から発せられる言葉がデータ化され、伝達されると同時に記録されていく。

「バベル」が世界中の人々の「口」となり、「耳」となるのだ。

人々の「口」となって話し、同時に「耳」となって聴く。そうして、すべての人々をコミュニケーションによって一つにつなぐ。

強みもある。情報の重要性や優位性については、その人物が属性ごとに区別(セグメント)、評価(レーティング)される。信憑性や欺瞞性についても声に現れる心理的な生体反応により真偽が判定される。

そして、究極の「情報提供サービス」が実現すれば、世界で最も優れた情報を瞬時に提供できる。ユーザーは、問いを口にするだけで、たちまち賢者となる。世界中の人々の悩みや問題は、この世から消えてなくなるはずだ。
 

わが社はゴーグルを凌駕しなくてはならない。

世界を変えなければならない。

そのために、働かなくては、今以上に。
 

基幹システムのプログラミングに始まり、経営、財務、人事、広報にいたるまで、彼はあらゆる業務をこなした。時間が足りない。体が足りない。

人に頼むことはできない。なぜなら、自分よりも優れた人間など他にいないからだ。真に信頼できる他者など一人もいない。

断続的な極限状態の中で、彼は一つの決断をする。彼は、とうとう自らの脳を電脳化することにした。彼自身をこの会社のマザーコンピューターにすることに決めたのだ。

電脳化は、呆気なく済んだ。

これからは、無数のプロセッサが同時に走り、すべてのタスクが高速に処理されていく。そう考えるだけで、思考回路が熱を帯びるようだ。

そして彼は、手術台に横たわるもう無用となったかつての肉体を、新しい網膜となった監視カメラのレンズで見下ろすのだった。
 

引用)『わが闘争』 アドルフ・ヒトラー 平野一郎、将積茂訳 1973年 角川書店
※「なだれ」「ことば」を漢字に変換しています。
 

*    *    *

 

あなたは、こんなマッド・サイエンティストのようになってはいけない。『バーチャルCEO』では「スーパーヒーロー症候群」と呼ばれている。何でも仕事をこなす「スーパーヒーロー」だ。

バーチャル・アシスタントを雇えば、どうなるだろう?

あなたの空いた時間や労力を、より生産的なことに使えば、さらなる収益をもたらすだろう。

精神的にも、余裕が生まれるだろう。

ひょっとして、孤独からも解放されるかもしれない。

どうだろうか?
 

*    *    *

 

The Another Story

西暦20XX年——

「おはようございます、ボス」

テレビ電話アプリ、トライブの画面に映し出されたジェシカは、人懐っこい笑顔を見せている。

「ああ、おはよう。そっちの天気はどうかな?」

「ええ、さっきまでスコールがすごかったんですけど、もうすっかり晴れています」

ジェシカはフィリピンに住んでいる。

「おはようございます」

次々と画面に見慣れた笑顔が映し出される。彼らは、全員、人種も国籍も違う。

人類は言葉の壁を克服した。トライブに同時通訳機能が搭載されたのだ。このプラグインは画期的だった。話す言語の音声を無音化し、その代わりサンプリングされた話者(スピーカー)の声音で、他の言語に同時通訳してしまうのだ。まるで、その人が、その人の声で、他国の言語を自然に喋っているようだ。

「みんな、いつもわるいな。定例ミーティングをこっちの時間に合わせてもらって」

「問題ないですよ、ボス」

皆は口々に「おはよう」と挨拶してくれるが、時差のせいで、全員の現時刻は「朝」ではない。

「今日は、顧客の誕生日にお届けしているギフトの件だったね」

「はい、それで私、素敵なプレゼントを見つけたんです」

ジェシカはいつも気の利いた提案(プレゼン)をしてくれる。

「Bonjour…, Bo, あれ、ったく。聞こえますか?」

「やあ、アルバン、おはよう」

「すいません。遅れてしまって。どうも、このソフト調子がわるいみたいで。翻訳プラグインが立ち上がらなかったんです……」

「また、そんなこと言って。どうせ、寝坊でしょ」

ジェシカが、可愛くふくれている。

「違うってば。ちゃんとアップデートもしてるのに……」

「おやおや、バベルもお寝坊ってわけかい?」

誰かが言ったその一言で、画面越しのスタッフみんなが笑った。

わが社のオフィスは、すでにない。

しかし、バーチャル・アシスタントが世界中にいる。
 

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注)この本は、小説ではありません。バーチャルアシスタントを雇う方法について書かれたビジネス書です。
 
 
 
 
 

パリのアパルトマンの一室、そこには複数台のコンピューターやモニタが所狭しと置かれている。かつて流行したというクラシック音楽「ダフト・パンク」を聴きながら、アルバンが首をかしげている。

「それにしても、このバベルのソースコード……」
 

その年、あらゆるオペレーティング・システム(OS)に画期的なインフォメーション・テクノロジーが搭載された。この進化したバべルは、発表と同時に瞬く間に世界中に広まった。そして、ある日突然、世界中のデジタル機器が クラッシュした。

すべての人々は職を失った。いや、新たな仕事を得たのかもしれない。
 

注)この Story はフィクションです。実在の企業、サービス、その他の固有名称などとは関係がありません。

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